フィンランド航空のスチュアデスさんに話し掛けれ、自宅に招待される     ヨーロッパ一人旅↑   キャンプ場のテントで一夜を


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オーストリアからのメール 

ムーミン童話全集〈1〉/ムーミン谷の彗星 ムーミン童話全集下村 隆一 (翻訳), トーベ・ヤンソン, Tove Jansson

 

フィンランド編  


 No.9  市内、フィンランド航空のスチュアデスさんに話し掛けれ、自宅に招待される

No.10 ヘルシンキを出発、北へとヒッチハイクの旅が始まった

No.11 キャンプ場のテントで一夜を過ごした

No.12 フィンランド、ヒッチハイクの旅が曲がりなりにも続く

No.13 ヒッチハイクが難しい、じゃあ「フィンランド徒歩の旅」に変更するか?

No.14 フィンランドの民家、その庭にテントを張った所に一泊となる

No.15 Kärsämäki まで。日本の小旗を振りながらヒッチハイク

No.16 家の中にプールがある、フィンランドの民家で一泊招待される

No.17 フィンランド、ラップランド地方を更に北上 

ムーミン童話全集〈1〉/ムーミン谷の彗星 ムーミン童話全集下村 隆一 (翻訳), トーベ・ヤンソン, Tove Jansson

 

 ★はじめてだった、ヨーロッパひとり旅・滞在★                                                   

   19xx年7月4日(木)晴れ

Helsinki Jaervenpaeae→ Lahti→ Heinola

       

昨日も日本宛に絵葉書を出した。

『19xx年7月3日 (ヘルシンキ発(絵葉書)

2日の朝、午前8時55分、ヘルシンキ駅に到着。駅構内でフィンランド通貨に両替。レストランで朝食。外国での初めての体験は少々困惑気味。フィンランド人とスウェーデン人とジェスチャーを交えながら話し合う。小瓶のビールを2本飲ませて貰う。これはフィンランド人からのプレゼント。「ラカスタ! 好きです、愛します」と連発してばかり。更に別のフィンランド人、一緒にタクシーに乗ってバーへ飲みに行った。日本酒とウオッツカ、酔っぱらってしまった。YHに一泊出来る。安心した。物価の高いのには驚いた。外国に来ている気がまだしない』

 

今日こそはフィンランドの旅を始める。 

そう自分に言い聞かせた。

北上。

北上するのだ。

ヘルシンキに留まっていても良いのだが、とにかく旅を続ける。そのためにヨーロッパにやって来たのだから。


 

■IDカードを取得

 まず、IDカードを取りにStudent Officeまで歩いて行く。我々4人、そして後からカナダ人一人が加わった。学生であることを証明するカードを持っていると色々な所で学生としての特権が得られる。

一人一人自分のIDカードを入手した後、我々は駅前にやって来た。お互いにこれからの健闘を言い合いながら、そこで別れた。

日本からヨーロッパへと渡って行くために、しかもソ連を経由するという一番の近道を取るために、団体旅行のグループを日本の旅行会社に即席に作って貰って、我々は一緒になったのであった。日本各地から集まった人たちだった。

日本からの出発日が間近に迫ったある日、旅行会社の一室に旅行参加者全員が招かれ、そこではソ連への船旅についての説明があった。そして、お互いに自己紹介をしあった。そんなことが思い出される、、、、、、。

今、こうして俄作りの団体でヨーロッパにやって来ていたのだが、ここからは個人、個人として、更にヨーロッパ各国、自分の最終目的地へと向かって行くのであった。英国へ行く人、ドイツへ行く人、フランスへと向かって行く人、色々であった。ヒロはスカンディナビア半島を北上する。

長友君と一緒に Student Officeへと向かった。英文のIDカードを作ってもらうように申し込んであった。このカードがあれば、学生だということで入場料等の割引を受けることが出来るということであった。ヒロはもう学生ではなかったが、ヨーロッパではまだ学生として通用する顔であった。若さであった。日本人は外国に行くと若く見られるという評判でもあった。

ヨーロッパ各国を回ってみたいという願望を抱いていた。日本一周を曲がりなりにも成し遂げた後、次は外国へ行くことだ、と自分に言い聞かせていた。

「日本一周の次は世界一周だ」とと思い出しては、急に心が世界的な規模に大きくなって、そんな大きな事を思っていた。世界一周するにもどこから始めるか?

ヨーロッパから回って行こう。簡単に決まってしまった。アメリカに行ってみよう、とは思わなかった。ヨーロッパが終わったら、アフリカを縦断しよう。そして南米に渡ろうか。南米から中米、そして北米へと回って、日本へと戻ってくる。いや、いや、オーストラリアを忘れてはダメだ。ニュージーランドもある。豪州に住む人たちを無視してはいけない、とそんな風に大雑把なルートを考えていた。

また、こんなことも考えていた。当時、世界に何カ国あるのか、詳しくは知らなかったが、その一カ国ずつ訪れてみたい、と。それぞれの国に少なくとも三ヶ月ほど滞在して、現地人とその生活振りを知りたい、体験したい、と。今思い返せば、何と無謀な、無茶なことを考えていたことだろう。そう思わざるを得ない。ヒロは実に恐いもの知らずで若かった。無知だったのだ。知らぬが仏、ともいうではないか。知らない方が時には有利に物事が展開することもある。

 

大学時代に、校内英語スピーチコンテストがあった。「外国に行く前に日本を知っておこう!」がスピーチのタイトルだった。最近、外国へ行く人が増えているが、何のために行くのだろうか?自分の国のことも知らずに、よく行けたもんだ。」思えば偉そうなことを自分勝手に言っていた。

ある外国人観光客が日本にやって来た。ある日本人に質問したそうだ。

「北海道の石炭と九州の石炭とはどうちがうのか?

日本人であるためにはそんなことも知っておく必要があるのか、いやいやそんなことはどうでも良い。そんな質問がヒロに向かって発せられたらならば、そう思ったことだろう。だが、でも知っていても良いだろう、と考え直す自分になっていた。

ヒロは理想に燃えていた。日本を知ろう!

そういうことで日本各地を旅することにした。自分の生まれた国だ、死ぬ前に一度、、、、、、とそんなふう深刻そうに、大袈裟に大上段に振りかざすかのように考えた末のことであったかどうか、それはもう覚えてはいないが、日本の国を知ってみよう、歩いて回って見よう。そして世界を知ろう! と思考の枠が広がった。そうことで世界へと出て行こうとするのであった。

 

■ヘルシンキ市内、朝市

今、生まれて初めて、ヨーロッパに来ている。

この両足で立っている。

来てしまった。

来たからには、北に行くのだ。

 

フィンランドを北上する。

そのためには何をしなければならないか。次の行動は何か?

食料を得なければならない。

両替しなければならない。フィンランド通貨も入手する必要がある。これは後回しにした。

結局、市内の朝市に行ってみようということにした。

朝市の場。

相当の人出である。外国人観光客、旅行者であることが容易に分かる。オーストラリア人女性が噴水を背景にカメラの的になっていた。遥か遠くの国からやって来られたのだ。思い出に残るようにと、ご主人に記念写真を撮って貰おうとしていたのだろう。

ちょうどヒロが彼女の隣に突っ立っていたので、彼女は英語でヒロに話し掛けた。どう意味でこのご婦人はヒロに言ったのだろうか。ヒロは意味通りに理解してしまった。

 

 We are neighbors!

 ヒロもそのまま返した。

 Yes, we are neighbors

 ええ、そのとおり、私たちは隣同士です。

彼女はそう言いながら、日本とオーストリアの国際親善を意味したのだろうか、言外に「同じ仲間ですものね、仲良くしましょう」とも聞き取れた。 また、あとで気がついたのだが、多分、「写真を今撮って貰うので、私からちょっと離れてくれないか」ということを間接的に、遠回しにそう表現したのかな、そうした深い悟りの世界が込められていたのかな、とも解釈しようと思えば思えると自分勝手に考えていた。

実際、彼女の側に長くはいなかったので、彼女の目的は達成されたことになったのだが。異国人と意思を疎通することの意味を色々と感じ取る自分がこれからは始まって行くことになる、と内心、覚悟するような思いであった。

リュックを背負って歩き続けたので両肩が疲れた。何処かで休憩しようよ、と長友君は言う。一応、ヘルシンキの朝市は見た。次は何を一緒にしようか?

ヘルシンキ市外へ
「我々はここ、船着き場で別れることにしよう」別れた。彼は船に乗ってスウェーデンへと渡って行く積もりなのか。ヒロは自分の進むべき方向へと歩き始めた。もう本当にひとりとなって、自分ひとりで事を進めてゆくのだ。正しい方向へと歩いていた筈であった。が、地図を見ても場所がはっきりせず、そのまま市電の線路に沿って、そして、たぶん、国道4号線を歩き続けていた。市電か、バスに乗って、市街地を出て行こうと思いながらも、何処へと連れて行かれるものか、それも良く分からず、とにかく歩き続けた。

時折、空腹感を覚え、やはり三度の食事は旅の空の下であっても、必要であることには変わりないことを悟らされる。空腹であるということを意識的に思い出す。腕時計を見れば既に正午を回っていた。

もう何処へ行っても構わん! 少々自暴自棄的に目に付いたバスに乗って行くことにした。

バスに乗った。ところが、国道から離れた地域へと走っていってしまった。女性の運転者さん(女性のバス運転手! 珍しい、と思ったも束の間)にフィンランドの地図を示して、Lahatiへ行きたいとジェスチャゲーム宜しく伝えようとする。分かったのだろうか。道を間違えたのであった。運転手さんが間違えていたのではなく、日本からの、このお上りさんが道を間違えたのであった。バスは ヒロのためにぐるりとユーターンして、親切にも国道の沿道で降ろしてくれた。

 ■国道4号線沿いに立つ

これが国道4号線であるLahatiへと通じる道路である。Lahatiということで、日本からの団体旅行のメンバーの一人、あのおっさんの饒舌ぶりが思い出された。おっさんは鉄道でLahatiへ行くと言っていたが、もう着いただろうな。ヒロを待っていてくれ、とは言っておかなかった。

ヒロもこれから同じ方向へと向けて出発だ。勿論、鉄道を利用する旅ではない。車を利用する旅である。車をヒッチして行かねばならない。ヒッチしながら行かねば行けぬ。行けば行ける。行かねば行けぬ。それは当然の理、旅の仕方をそんな風にすると決めたのである。

 ヒッチハイクの旅は日本で相当訓練を積んできたので、ここ外国でも多分通用するだろうと楽観的に考えていた。

 そう、ヒッチハイク。車をヒッチする。日本語にすると車をとっ捕まえること。ヒッチするためには、サインを出さなければならない、手を挙げなければならない・・・・・・という思いが脳裏にある。ここ外国に来て、ヒッチハイクの基礎を心の中で復習している。

 

車は止まってくれるだろうか? そんな不安な思いが、ヒッチを始めようとする前にある。ヒッチするときはいつもこの心臓がドキドキするようなためらいというのか、おののきを感じる。勝ち負けの結果如何がその後の行く末をけっているする、賭け事に匹敵するようなものに思えてくる。ヒッチでの賭けとは何か、と聞かれれば、まあ、負けたからといっても、つまりヒッチに失敗したからといっても、罰金を要求されるわけでもない、損をするわけでもないのだが。ただ自分の不甲斐なさを知らされることになるかもしれない。

目の前には今、車が走っている。通過して行く。

 

道に腰掛けていた。と、前方からFiat車が、手を挙げたのでもないのに、止まってくれた。ちょっと信じられない自分であった。聞けばLahati への途中まで行くとのこと。乗せて貰った。英語を話す。水夫であった。マルボローのたばこを喫わして貰う。

地元のヒッチハイカーが一人道路を歩いていた。高速道路では車は止まらないことになっていると御親切にも教えてくれる。自分の家を建てるために、Jaervenpaea まで今ちょうど歩いて行くのだそうだ。そこのドライブインでコーヒーとサンドイッチをご馳走になる。民族衣装を着た女性がいた。ロマネッシュとか・・・定着を嫌うのだそうだ。ジプシーのことかな。

2台目の車、Heinolaまで行くとのこと。英語を話すフィンランド人、会社の役員をやっているとか、それと英語を話すポーランド人。ポーランドからのビジネスのお客さんが来ているということか、彼ら二人だけで話し合っている。冗談やら、笑い話を紹介し合っている。マルボローのたばこを何度かこの車の中でも貰う。

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  ■キャンプ場にやって来てしまった

キャンピング場へと連れて行かれた。別にキャンプ場へと行きたいと言った訳ではなかったが、乗せて来て貰ってしまった。

2.50マルカの入場料を取られた。テントはなし、その辺にある、ベンチの上ででも寝ることに決め込んでいた。

サウナに入れるように木造の建物がある。近くの岩の上に腰を降ろして、西日を浴びながら日記を付けていた。午後8時を過ぎているのに、まだまだ明るい。暗くなるまで、一人でこんなふうにしてしか時間が潰せないのは少々わびしい。

森の中の湖、聞いていた通りのフィンランドの森林風景、写真で見た通りの風景。ボート、ヨット、そしてサウナから飛び出て来ては、湖の中にドボン、真っ裸で泳いでいる。戸外に裸でいることは全然気にならないらしい。

 

キャンプ場の中をちょっと見て回るとするか、自分にそう言い聞かせて、立ち上がった。キャンプ場受付の裏側に来てみると、ソーセージを焼いて売っている。フィンランド語が聞こえるのみと思っていたら、おお、英語が聞こえて来るではないか。買いたい、食べたい、と別に思ったわけではなかったが、近くの人に英語で訊く。

 「それ、一本いくらか?」 

途端に回りにいた若者達がヒロの所に話し掛けて来た。二人、いや、三人と。「日本の自動車の名前をいくつも知っている」

「それを日本語で書いてくれ」

「トヨタ、オットサン」

「オットサン? 」

そんなの聞いたことないよ。  オトウサンのことかな? 何、俺のことか? 俺はそんなにまだ年は取っていない。あっそうか、ダットサンのことか!

 「で、それから?」

何だ、いくつも知っているかいうからそうかと思ったら、二つだけじゃないか。

彼等達のテントに招待された。女の子が二人いる。その一人は若者の一人とキスをしている。見せつける。キスの仕方はこうするのよ、といった風に何時までもくっついたままだ。彼ら二人の世界に沈潜してしまっている。止めやしない。どうぞご自由に。

ビールやコーラを飲み、たばこを吸い、ギターを奏でながら歌って、時間が経つのも忘れてしまっていた我々であった。オレンジ色に輝いていた太陽は素晴らしかった。

酒、ビールを飲むしか楽しみはないのだろうか、と思った。昨日は25本飲んだと言って誇っているみたいだ。まさか、一人で飲んだわけではあるまい。みんなでそんなにも飲んで、それで、すべてはおしっことして流れていってしまうものだろうが・・・・・・、刹那的に酔っぱらって、いい気持ちになって、それで・・・・、どうだというのか。 ヒロは酒を余り飲まない。

飲酒運転をして正面衝突の交通事故を起こしたそうだ。バカだよ。当然だよ、そう思ってもヒロは口には出さなかったが、その友人の一人は即死。いつまでも、いつまでも、永遠にとキスをしていた例の若者も左足に傷を負って、びっこを引きながら歩いている。哀れだね。それともそんな風に感じないのかな。

西洋人の頭の構造は東洋人とは違うのかな? 気力に欠けるような人たちだ。そう感じ取っている自分であった。

 

 

 

 

 

 

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