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The Complete Short Stories of Ernest Hemingway

ノルウェー娘との微妙な人間関係 ヨーロッパひとり旅 ↑ ねえ、それ美味しい?

 

No.45 はじめてだった、ヨーロッパ(スウェーデン編)ひとり旅  

 

  19xx年11月11日(月)霧

    

また一週間が経った。いつものごとく日曜日(昨日)、夕方からの仕事が待っている。時刻が迫りつつある。

昼食後、自分専用の待避所のごとく、ここ食事室に一人で戻って来た。テーブル、ソファー、椅子の配置換えが行われていた食事室の中、部屋の左側にあったソファーは右側の隅に移動していた。

午後の暇な時間はここで過ごすのだ。でも何を、どうしよう? 先週は街中を高い木靴を履いて暇つぶしの散歩だった。今日の日曜日の午後、天窓の外は風交じりの雪だ。外出はしないことに決めていた。

ランプの光の下で本を読み、何かを書いてみようか。そんなことを念頭に置きながらも、ソファーの前のテーブル、ラジオの直ぐ横の椅子に腰を降ろした。が、読む気も書く気にもなれな い。原因は分かっていた。

 

昨日の土曜日、仕事を終え、レストランから家までの、夜の国道に沿って走って帰ってきた。

帰宅と同時に直ぐに自分のベッドにもぐりこんだが、眠れない。全然眠れない。家の中も暖房が利き過ぎていた。体内の血液循環が活発に行われているのが感じ取れる。

更に、その日、昼時、久しぶりにコーヒーを飲んだ。彼女たち、インゲラ、ノルウェー娘、ユッタの三人が静かに午後の一休止を取っている所に ヒロは現れた。彼女たちはコーヒーを飲みながら話していたのだろう。ヒロは仲間入りした。

ユッタが気を利かしてくれてか、コーヒーを運んで来てくれた。ヒロはクリームを注ぎ、角砂糖4個入れ、スプーンで掻き回し、自分のコーヒーを飲んだ。そうするのが 自然な成り行きと思われたからであった。今晩、家に帰ったら寝れなくなるだろう、などと考えながらコーヒーカップを片手で持ち上げ、口に運んだ訳ではなかった。タバコは持っていなかったので、コーヒーを代わりに飲 んでいた。

家の中、自分のベッドの中、寝よう寝ようと思いながら、寝苦しさのため、何度も、何度もベッドの上で寝返りを打っていた。そしてベッドから這い出さなければならない時刻がやってきてしまったという具合であった。

午前六時半。目覚まし時計は鳴り響かなかった。が、針が跳ね上がる音は確かに聞き取った。意識ははっきり、目覚めたままで一夜を過ごしていたのだった。

 

 

食事室の中、長袖の上着の上に更にセーターを着込んだ服装のまま、ラクダ色の毛布に包まって、赤いソファーの上に全身を横たえていた。ラジオ音は小さくしておいた。天井の蛍光灯は一つだけにしておいた。

自分にはなにがしかの睡眠を必要としていた筈。少なくとも全身のための休養が要請されていたはず。

全身に疲労感を感じながらも眠気はなかった、全然なかった。体をそのまま横たえている状態がその時、その場にあっては理想的であると感じていた。

そのソファーに一人、仰向けに寝転がって若干の睡眠をとることを意図した。しばらくすれば眠れるだろう・そんな思いがヒロを喜ばせた。満足感を抱き始めていた。そんな思いを持ちながら、気が付いたときには、否、気が付かぬうちに寝入ってしまったという自分を見出すことは その時、その場の本人を確かに嬉しがらせる筈であった。

 

 

    *        *

眠っていたのだろうか。壁時計のモーター音がいつまでも鳴り止まなかったようだ。食事室の中は暖房が利いていた。適度の温かさ、快適な睡眠、快適な休養、快適な体力回復、それら 全部が得られるであろうと思われた。

胸の上に両腕を組んで寝入るのを待った。ここの暖房は利き過ぎるのではなかろうか、時々そう思った。背中が発汗するのを感じ取っていた。それは実に厚着の 所為でもあったのかも知れない。が、眠っている自分ではなかった。

ソファーの上、体が不自然にも傾いていたからではなかろうか。頭と足の場所を入れ替えて再び寝入ることを待った。

室内が明る過ぎるからではなかろうか。起き上がって、靴下のままで床の上を歩いて、入口横のスウィッチをひねり、照明を消した。午後4時、ラジオは時報を告げていた。

 

寝入る努力を諦めた。ラジオの音量を若干大きくした。音楽の曲名を当てる番組。しばらくはそのまま横になっていたが、そうしていることに不快を感じ始めた。直ぐに起き上がった。

椅子に腰掛けた。まだ 仕事を開始するには時間が有り過ぎる。テーブルの上に積まれた数冊の本の中から、The Great Gatsby を取り出し、声を出して、その英語を読み始めた。

In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I’ve been turning over in my mind ever since.

“Whenever you feel like criticizing any one,” he told me, “just remember that all the people in this world haven’t had the advantages that you’ve had.”

He didn’t say any more, but we’ve always been unusually communicative in a reserved way, and I understood that he meant a great deal more than that. In consequence, I’m inclined to reserve all judgments, a habit that has opened up many curious natures to me and also made me the victim of not a few veteran bores.

自分が今よりも若かったとき、父親はボクに助言してくれたが、その助言は今も念頭に残っている。人を批判したいと感じたときには、覚えておくんだな、お前にみたいに特権を持ったひとはこの世にはいないんだよ、云々。

こうして自分がスウェーデンにやって来て、このレストランで働いていけるのも一つの”特権”かも。

しばらくは読み続けていた。三日程掛けて一度読み切ってしまった小説だ。内容は知っている。読み飽きて来た。声を出して最後まで読む気は毛頭なかった。

寝転がっていたときに比べると、頭の方がハッキリと冴えてきた。

 

次には Lady Chatterley's Lover の第一章から、声を出して読み始めた。

Ours is essentially a tragic age, so we refuse to take it tragically. The cataclysm has happened, we are among the ruins, we start to build up new little habitats, to have new little hopes. It is rather hard work: there is now no smooth road into the future: but we go round, or scramble over the obstacles. We've got to live, no matter how many skies have fallen.

我々の時代は本質的に悲劇的な時代なのである。故に我々はこの時代を悲劇的に捉えようとはしない、云々云々、、、、。

 

 

 

ラジオの時報は午後5時を告げていた。時報には構わず、相変わらず読み続けていたが、そろそろ就業時間が来たな、と頭の片隅では思っていた。

本を閉じ、立ち上がった。食事室を出る準備を始めた。

更衣室へと降りて行った。仕事場へと出向いてゆく前にシャワーを浴びた。

 

午後5時半、タイムカードに刻印した。

 

 

 

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